＋＋＋4th.　Discovery「明日への追跡」

オマケ＜あなたなら　この気持ちを何と呼びますか？＞

　

　

　

　「あー、幸せ〜〜〜」

　先程の八千穂による朱堂への華麗なる制裁劇は見なかった事にし、念願の風呂に入っていた。こんな時間なので、今は俺ともーひとりしかいないので広々とした湯舟を満喫できる。

　ダラダラと湯舟に浸かり、幸せを味わっているところへ‥‥‥‥ッ。

「あ〜あ、どっかの誰かさんを助けちまったんで疲れたぜ」

　スパーンッと、勢いよく幸せな気分を叩き落とされる。キレイさっぱり、シャワーで排水溝へと流したはずの、遺跡での借りを思い出してしまう。

　更に追い討ちをかけるように、あんな余裕をかましてた癖に情けないなぁ〜などと、俺にワザと聞こえるよーに呟いている。く‥悔しい。

　

「あ‥、あの時は助かったよ‥‥‥‥」

　対面で、ふんぞり返ってくつろぐ皆守に背を向け、消え入るような声で感謝の言葉を言ってるつもりの俺。

　

「何か言ったか？」

　

　ワザワザ俺の横に移動しないでくださいませ。

「‥‥‥‥‥‥‥‥あの時は助かったよ‥ありがとう」

　はい、もっと大きな声でと、俺の頭に腕を乗せながら催促。

　

「あの時は助かりましたッ！ありがとうッ！！」

　

　ヤケになって大きな声で叫ぶと、けたけたと笑いながら満足気に俺の頭をポシポシ叩いている。頬が上気するが、風呂で茹で上がってるだけだと、自分に言い聞かせる。

「クククッ‥‥、いつもニコニコ愛想よく、余裕をかますお前は何処行った？」

　ああもう本当に余裕が無さ過ぎる‥‥‥。

「そういやお前、遺跡でクラスの奴にからかわれたって言ってたが、何て言われたんだ？なんか誤魔化そうとしてたみたいだが」

　かぁあああああッ。先程よりも顔が赤くなるのが分かってしまった。

「ククッ‥‥、顔が赤いぜ。のぼせたんじゃないか？」

「ッ！？‥‥‥うわッ！！」

　ゴッ！っと頭に鈍い音が響いた。

　頬に触れる皆守の手に、驚いて思わず立ち上がったのだが、足を滑らせ後頭部をしたたか浴槽に打ってしまった。

「痛ッて‥‥‥」

「おい、大丈夫か？」

　もうちっと心配しろってーーか、笑いながら言うなッ！！

　後頭部の痛みと恥ずかしさで、もーなにがなんだか分からなくなる。

　急いで上がり湯をかけ、浴室から出る時につい捨て台詞を吐いてしまう。

　

「なんてからかわれたか知りたきゃ教えてやるよッ。クラスの奴にお前の奥さんって言われたんだよ！ったく、愛してるぜこんちくしょうッ！！」

　

　勢いよく浴室の戸を閉めるが、大爆笑するカレー星人の声が否応なく聞こえてくる。

　

　

　最後にあいつが嫌がる愛を叫んだのだが‥‥なんかものすごーく後悔した。

　

　

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