+++黄龍ナマモノレンタル學園紀

【骨折】どんな神様をも味方に出来るから最強なのです 

 

 

 あれ?っと思った。

 今日も今日とて皆守が尚ちゃんのお部屋に押し入ってきていて、俺は優しく退室を願って叩いていた。

 勢い良くベチッてステキな音と共に床になじんでいるけれど、手加減したからどうにもなっていない。

 くーちゃんとのお約束でもあるからね、遺跡でくーちゃんが良いって言ったモノや場所以外には、思いっきり手加減するようにしている。

 だから普通の人間の皆守は、そのおかげで未だに五体満足で生きている。

 こっちの世界は微妙に向こうと違っていて、亀とかいろんな人が俺に優しくって甘いので生きていきやすいかなって思うけど、でもやっぱり向うの世界が俺の生きる世界だと思う。

 だって、どんなにお馬鹿でも俺の相棒は向うの世界の京一だし、どれだけそっくりでも俺の従兄は向うの世界の尚ちゃんだけなんだろうし……それに、くーちゃんに会いたい。

 この世界にももしかしたら存在するのかもしれないけれど、どこにいるのかわかんないし。

 そんな事をつらつらと思いながらも、こっちの世界での生活になれてきていたときだった。

 あれっと思って、違和感を感じたのは。

 それは、俺がこの世界にきたときに感じたのと似た様な違和感で、そっちに向かって行ってしまった。

「たっちゃん?」

 尚ちゃんが俺の様子が可笑しいのを察してか、声をかけてくるけれど気にしない。

 違う、気にすることが出来ない。

 あっちに何かがあるから。

 俺をひきつけてならない何かが。

 皆守を追い出したばかりのドアを開けて見ると、そこには……

「くーちゃん!」

 ずっと会いたくってならなかったくーちゃんがいた。

「龍麻」

 あぁ、ずっとその声で呼んで欲しかった。

 涼やかで甘やかな声。

 人を魅了し、人ならざるものを従えさせる声。

 その声に再び呼ばれる事ができることに感動した。

「たっちゃん?どうか……君は?」

 ドアを開けてそのまま突っ立っている俺の肩に手をかけて尚ちゃんが出てきた。

 尚ちゃんは、くーちゃんを真直ぐ見につめた。

 くーちゃんは尚ちゃんに微笑んだ。

 いつも俺に見せる笑顔とは何かが違う微笑を。

「ハジメマシテ、異世界の方。僕は、そちらの龍麻と同じ世界に存在するものです」

 優雅に、本当に優雅に一礼した。

 くーちゃんは何時だって所作が洗練されているって思っていたけど、こういう風にきちんと挨拶をしたりするとそれが際立つんだなぁって思った。

「えーっと、パラレルワールドの住人?」

「ほんの少し違うだけの、隣り合った世界ですからその認識でも間違いではないかと」

 ふんわりとした微笑。

 やっぱり、くーちゃんの笑顔はいいなぁ。

 ほんわかとしていたら、その場にそぐわない唸り声が。

 あ?っと思っていると、くーちゃんの下に皆守が。

 しっかりと踏みつけているよ。

 流石くーちゃん、いい仕事しているね!

 しかも時々かかとでグリグリやってるし。

「ど、」

「ど?」

「どきやがれ―――!!!」

「うるさいですよ」

 皆守の絶叫に冷静に返したうえに、ステキな音が響いた。

 あ、思いっきり両足が変な方向に向いた。

 折れたかな?

まぁ、皆守の足だし。

 綺麗に骨を折ったと思ったら、金色の光があたりを覆った。

 

『お題【骨折】を達成いたしました』

 

 くーちゃんナイス!

 しかも悲鳴もあげられないように皆守の意識を落としてるよ!!

 流石だよ!!!

 あっけに取られている尚ちゃんを余所に、俺はつい拍手をしてしまっていた。

 


 こんな素敵な文章を早速ありがとうございます。

 「話が中途半端でゴメン」だなんて、そんなことは全くもってありません。

 さすがふーちゃん、ナマモノ様がピチピチまるで釣り上げたばかりの鯛のごとく、

見事に生き生きしています。ナイスくーちゃん。そして皆守に合掌。

 これから上手く話を繋げようと思いますが、いかんせん素敵文章すぎて次の話の

クオリティが気になります。(ガタブル)

 ふふ、この他のお題も楽しみに待っています!!本当にありがとう。

 




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