+++1st. Discovery「謎の転校生」

 

序章 <前途多難な冒険活劇の幕開け>

 

 

「ん・・・」

 無機質な白い世界が眼下に広がる。目を慣らしながらよく観察すると周りにあるのは医療用の機械で、横たわる自分の体にいくつかのコードが繋がっている。

「助かったのか・・」

 ‥‥サラーはっ?

 俺の初めてのバディ。あの『秘宝の夜明け(レリックドーン)』とかいうふざけた奴等から逃げ出した後は、ただただ必死でオアシスを目指し移動した。途中でサラーは倒れてしまったので無我夢中で担いで歩いたが、結局オアシスは目的の場所には無かった。次の手を考えようとしたが意識が朦朧としてきてその後は・・。

 なにやらヒステリックぎみな女の声が聞こえてきたが今はそれどころじゃない。俺は自分に付いているコードを一気に取り去ると起き上がった。

 

「ふぉっふぉっふぉ。元気のいい患者だわい」

 

 俺は思わず声の主をまじまじと観察してしまった。なにげにケンタッキーのカーネルおじさんを彷佛とさせるような顔をしていたが、ひとつ大きく違う点がその体格だった。押せばぽよよ〜〜んと跳ね返ってくる感触があるであろう腹、それどころか体のパーツすべてが気持ちの良いくらい丸かった。

「これは何本に見えるかの?」

 まるでソーセージを連想させるぷにぷにの指を3つ立てている。

「さ・・三本に見えます」

 なんだか気勢をそがれてしまい素直に答えてしまった。

「ふぉっふぉ。そんなに焦らんでも一緒におったご老人は無事じゃよ。今は麻酔が効いておっての良く眠っておるわい」

 ‥‥‥‥っはぁ〜〜。

 無事だったんだ。そう安心したらなんだか眠くなってきた。あのぽっちゃりカーネルおじさんはロゼッタ協会の専属の医師だそうで、あれやこれやと説明してくれたがいまいち頭に入ってこない。話を聞く振りをしつつ、もーちょっと寝ちゃおっかなーなどと不謹慎なことを考えていると、そうは問屋がおろさないとばかりにH.A.N.Tからメールの受信音が聴こえた。

 さすがに命の恩人(?)であるH.A.N.Tサマを無視するわけにはいかないので起動しメールを開いた。  それは新たな仕事の依頼だった。

「早速次の仕事かね。なかなか期待されとるではないか」

 さも楽しそうなものいいだった。

「さんざんな目にあったようじゃが、協会はお前さんの実力をそれなりに評価しているようじゃなぁ。ふぉっふぉっふぉ」

 その言葉を聞いて、心の片隅で喜ぶ自分がいた。おっしゃ!次こそは必ず依頼を完璧にこなして名誉挽回だっ。うーん、俺ってばこーなんていうか誉められて伸びる人材なもんで、サラーも無事だったし結果オーライってことで新たな仕事への情熱がメラメラと燃え上がる。

 意気揚々と依頼の詳細を確認するが‥。

 

 ‥‥‥‥ん〜〜〜〜?

 え、えーと‥‥どう反応していいやら、しばし考えてしまった。

「なにか問題でもあるのかね」

 ロゼッタから送られてきた書類を前に唸る俺をみてぽよよんオジサンが訊ねてきた。

「天香学園高等学校に編入って‥俺今年で25歳なんデスケド」

 7歳も年齢詐称しなきゃいかんのか‥‥。てっきり教師のタマゴとして研修〜みたいな感じで派遣されるのかと思っていた俺は思わず頭を抱えてしまった。

「なんじゃ、そんなことかい。大丈夫じゃよ、お前さんホレ童顔じゃしのぉ。ああそうか、お肌のハリで年齢がバレるんじゃないか心配なのか。それならウチの看護婦が使っておる超強力これであなたのお肌はプルンプルン美肌パックをやってやるわい」

 いや、そーじゃなくってぇ!!っと思いっきりツッコミたかったよ。ああん、俺高校生しなきゃいけねーのかよぉ。しかも全寮制かぁ〜

 ワカモノの中に混じって生活できるのかという不安でいっぱいでツッコムどころじゃなかった。

 仕方が無いのでしぶしぶ成績表に必要項目を記入してゆく。

「しかしのぉ、身長174cmで55キロとは軽すぎるのぉ」

ぷにぷにさんがひょいと書類を覗き込むとしげしげと観察される。

「診察したときに思ったんじゃが、お前さんあんまり筋肉がついておらんのぉ。トレジャーハンターとしては少々心もとない。そんな体格では接近戦はキツかろう」

 ぐ‥‥。なかなか痛いところをついてくれる。俺には7つ年の離れた弟がいて、そいつは体を鍛え上げて(筋肉バカ?)接近戦をメインにしているが‥‥

「銃がメインというか、接近戦はちょっと‥。サバイバルナイフとか相手の感触が手に伝わってくるあの感じがどうも苦手で」

 こんな例えはどうかと思うが、切り身になっている魚とかすでに死んでいるものは平気なんだが、どうも生きているものに刃を入れた時の感触‥なんだが手にゾクリと痺れるような感じがして非常に苦手なのだ。そんなのはただの錯角だし、生きるために動物を殺してその肉を食べるがやっぱり苦手、できたらやりたくないのだ。

「ぷひー、まったく甘ちゃんじゃのぉ」

 くっそーっ、悔しいがまったくもって本当のことなので反論できない。そして、だんだんと(心の中だけだが)ガラの悪くなっている自分を自覚し、気を取り直して書類を書くことに集中する。

 えーと、得意科目は地学で部活かぁ。帰宅部も考えたが、いろいろな部活のなかで弓道部というのが目を引いた。海外生活が長かったこともあり、純和風なものへの憧れと俺お得意の遠距離攻撃というところが気に入ったため弓道部と書き込んでしまった。

 しっかしなぁ、東京のしかも新宿の学校かぁ。長野県生まれの俺としては新宿というのはなぜか異世界のような(おいっ)感じがしてうまく生活していけるか不安になってくる。(海外はいーのかよ!というツッコミは却下)

 

  そんなこんなで俺の前途多難な冒険活劇は幕をあげた。




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